夜の高知城ライトアップクラブ

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私と高知城   山崎 啓輔様
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私と高知城 日本城郭文化学会 代表  佐藤 真樹様
P-06.jpg 土佐の主役は高知城である。その存在感たるや、圧倒的ですらあり、今時、高知市規模の都市において、いかなる建築物をも眼下に見下ろせる天守からの眺望を誇っている城は存在しないだろう。加えて、天守最上階の開放感と、そこに吹く風の爽快感は何度、訪れても心に新鮮な感動を与えてくれる。
 実は、この天守、享保12(一七二七)年の大火で焼け落ちているそうだが、それから、22年後の寛延2(一七四九)年に再建されたのが素晴らしい。それも慶長8(一六〇三)年の築城当時も姿そのままの「復古式廻緑望桜天守」として再建されたお陰で、我々は江戸時代のお城を体験できるのである。また、さらにありがたいことに藩政期当時の本丸御殿が日本で唯一残っており、殿様の日常生活の場を垣間見ることも出来る。そうした高知城の魅力は、廊下門を経て辿り着く独立空間としての本丸や、二の丸・三の丸の広大なスケール、杉の段の老杉や野面積みの穴太流石垣の砂に至るまで、尽きることなく、その素晴らしさ、その美しさはまさに国宝級である。それゆえに、追手門前に遣わされた昭和9年制定の国宝高知城の石碑の存在は、現代の「重要文化財」としての評価を超えて、遙かに相応しいステイタスだと思う。
 ところが、高知城の魅力は、こうした昼間の城内散策だけではない、むしろ、全国に現存する12城の中でも、ここでしか、味わえない城の楽しみ方がある。それは、帯屋町のビルの最上階にあるクラブ「赤い靴」を訪れてみればわかる。
 お客は、ハチキンを絵に描いたような美人ママからリモコンを手渡されると、ビルの屋上にあるサーチライトを操作して、ライトアップされた天守の姿を自在に消したり、現したりすることが出来るのである。こんな豪快にして愉快な城の楽しみ方が他の城であろうか?このラウンジから闇夜に浮かぶ白亜の天守を眺めながら飲む酒は格別だ。これぞ、私にとって、最高の高知城の味わい方なのである。
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