夜の高知城ライトアップクラブ

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私と高知城  国則 秀機様  −1回目−
 ある穏やかな日曜日、家族で高知公園を目指した。長男、次男は幼稚園に通う腕白盛り、長女はまだ生まれていなかった。妻は和服を、子供はあたかも双子と見紛う揃いの服装であった。土佐市からお城下を目指すにはそれなりの服装を整えたものだ。

 当時まだ高知公園にあった動物園で時間をつぶし、今を盛りと咲き誇る梅の段で子どもたちと戯れたのち、廊下門下で記念写真を撮ることとした。

 廊下門前の紅白のしだれ梅の前の坂を少し下ったところで、撮影の位置を決めた。カメラを固定し、露出、シャッター速度、ピントを合わせて準備は完了。セルフタイマーを押し、足早にファインダーから離れ、妻の横でポーズをとった。シャッター音のみが耳に入ってくる。一瞬の静寂。そのとき、突然に次男坊は脱兎のごとくあさっての方角に逃げていったではないか。いったい何事がおきたのか、事態の掌握ができなかったこは言うまでもない。

 後日、写真ができてきた。ポーズを決めた親子3人を尻目に、スタートダッシュ時の一瞬の動きを止めた格好の次男坊は慌てふためいていて、表情はこわばり、硬直している。情景の予想はつくと思う。なんとも滑稽な写真が撮れたものである。

 静寂の中に響くタイマー音に驚いてのことだった由。わが家族にとって貴重な、思い出深い写真の一枚となった。
コメント(0) / トラックバック(0) ・・・エッセイ集より


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